会社で新規事業を立ち上げることになりました。新しいブランドを立ち上げて製品を作ります。
ブランド名で商標登録をすることになったのですが、勤めている会社に法務部など存在しないので、自分で調べることになりました。
調べた内容を、備忘録も兼ねて記載しておきます。
そもそも商標登録ってなんぞや
事業者が自己の取り扱う商品・役務(サービス)を他人の商品・役務と識別するために、商品について使用する文字・図形・記号などの標識。この標識を商標法では標章という。商品に表示する標識を「トレードマーク」(TM)、役務に表示する標識を「サービスマーク」(SM)という。また、立体標章も商標として取り扱われる。「登録商標」
つまり企業などが、自社の商品やサービスを他社の商品・サービスと区別するために表すマークのことですね。 商標を取得することにより、自社の商標として使い続けることができ、似たような商標を使っている他社に使用を制限させることができます。
商標の種類
商標には下記10種類あります。それぞれわかりやすい実例を見ながら見ていきましょう。
文字商標
ひらがな・カタカナ・漢字・ローマ字・数字など、文字だけで組み合わされたマーク。会社名や商品名、サービス名はこれにあたります。
図形商標
デザインされた図形や記号になります。イラストやエンブレム、キャラクターなどがあたります。
記号商標
いわゆるロゴマークになります。
立体商標
立体的なキャラクターや特殊な形状になっている容器などがあたります。
結合商標
異なる意味合いを持つ文字と文字、図形と記号、図形と文字など、二つ以上を組み合わせたもの
色彩商標
単色または複数の色の組み合わせで表現されたもの
音商標
音楽、音声、自然音等からなる商標であり、聴覚で認識される商標 (例えば、CMなどに使われるサウンドロゴやパソコンの起動音など)
動き商標
文字や図形等が時間の経過に伴って変化する商標 (例えば、テレビやコンピューター画面等に映し出される変化する文字や図形など)
ホログラム商標
文字や図形等がホログラフィーその他の方法により変化する商標 (見る角度によって変化して見える文字や図形など)
位置商標
文字や図形等の標章を商品等に付す位置が特定される商標
商標を登録するには?
商標の分類
商標には商品分野で34区分、サービス分野では11区分の計45区分に分かれています。 商標登録は「商品orサービス」と「区分」が1つのセットして考えられていますので、登録の際は下記45区分の中から区分を選択して登録申請が必要になります。
商品の区分(34区分) | |
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第1類 | 工業用、科学用又は農業用の化学品 他 |
第2類 | 塗料、着色料 他 |
第3類 | 洗浄剤、化粧品 他 |
第4類 | 工業用油、工業用油脂、燃料、光剤 他 |
第5類 | 薬剤、サプリメント 他 |
第6類 | 卑金属及びその製品 他 |
第7類 | 加工機械、原動機(陸上の乗物用のものを除く。)その他の機械 他 |
第8類 | 手動工具 他 |
第9類 | 電子応用機械器具及びその部品、ソフトウェア、電気通信機械器具 他 |
第10類 | 医療用機械器具、医療用品 他 |
第11類 | 照明用、加熱用、蒸気発生用、調理用又は衛生用の装置 他 |
第12類 | 乗物その他移動用の装置 他 |
第13類 | 火器、火工品 他 |
第14類 | アクセサリー、貴金属、宝飾品、時計 他 |
第15類 | 楽器 他 |
第16類 | 雑誌・新聞等の印刷物、紙、事務用品 他 |
第17類 | 電気絶縁用、断熱用又は防音用の材料、材料用のプラスチック 他 |
第18類 | かばん類、財布、革及びその模造品 他 |
第19類 | 金属製でない建築材料 他 |
第20類 | 家具、プラスチック製品であって他の類に属しないもの 他 |
第21類 | 家庭用の手動式の器具、化粧用具、ガラス製品、磁器製品 他 |
第22類 | ロープ製品、帆布製品、詰物用の材料 他 |
第23類 | 織物用の糸 他 |
第24類 | 織物、家庭用の織物製カバー 他 |
第25類 | 被服、服飾小物、履物 他 |
第26類 | 裁縫用品 他 |
第27類 | 床敷物、織物製でない壁掛け 他 |
第28類 | がん具、遊戯用具、運動用具 他 |
第29類 | 動物性の食品、加工野菜 他 |
第30類 | 加工した植物性の食品(他の類に属するものを除く。)、調味料 他 |
第31類 | 加工していない陸産物、生きている動植物、飼料 他 |
第32類 | アルコールを含有しない飲料、ビール 他 |
第33類 | ビールを除くアルコール飲料 他 |
第34類 | たばこ、喫煙用具、マッチ 他 |
サービスの区分(11区分) | |
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第35類 | 広告、ショッピングモール、求人情報の提供 他 |
第36類 | 金融、保険、不動産の取引 他 |
第37類 | 建設、設置工事、修理 他 |
第38類 | 電気通信 他 |
第39類 | 輸送、こん包、保管、旅行の手配他 |
第40類 | 物品の加工その他の処理 他 |
第41類 | 教育、訓練、娯楽、スポーツ、文化活動 他 |
第42類 | 科学技術に関する調査研究、電子計算機又はソフトウェアの開発 他 |
第43類 | 飲食物の提供、宿泊施設の提供 他 |
第44類 | 医療、動物の治療、人又は動物に関する衛生及び美容 他 |
第45類 | 冠婚葬祭に係る役務、警備、法律事務 他 |
商標権がなくなることってあるの?
商標権は一度取得すれば永久に権利を維持できるわけではありません。 下記の場合、商標権が消滅しますので、ご注意ください。
- 権利期間が終了した場合
- 会社倒産や相続人がいない場合
- 商標権の放棄
- 商標登録の無効
- 商標登録の取消
- 料金の未払い
- 登録商標の不使用
権利期間が終了するのに、更新手続をしない場合は商標権は消滅します。 商標権は自動更新ではありません。 特許庁から権利期間終了のお知らせは来ません! ただ、権利が失効しても満了日から半年以内(最大1年)であれば復活できる場合があります。権利失効に気付いたらすぐ申請をしましょう。
商標権者が死亡したり、法人が倒産した場合など商標権を相続できる人がいない時は商標権は消滅します。 実際のところ、特許庁が商標権者の生存確認や法人の倒産をチェックすることはありませんが、次回更新時に手続をする人がいないので、更新手続はされず商標権が消滅します。
商標権の放棄手続きを行うことにより、商標権を自分の意思で消滅させることができます。
正しい手順で商標権を取得した場合でも、後に利害関係者から無効審判を請求された場合には、商標登録が無効になることがあります。
ただ商標権には除斥期間があり、登録から5年を経過した後は、無効審判の請求は制限されます。
商標登録があっても、第三者が特許庁に何らかの間違いがあったとして、特許庁を相手に異議申立できます。
異議申立が通ると、登録の取り消しがあり、商標権は初めから生じなかったとされてしまいます。
異議申立は商標公報発行より2ヶ月間の制限はあるのですが、期間経過後は無効審判の請求が可能です。
料金を払わなかった場合はもちろん商標権が消滅します。
いちおうこちらも半年以内(最大1年)であれば復活できる場合があります。
登録商標を国内で3年間使用した経歴がない場合、他人より申立があれば商標登録の取消になる場合があります。